麻酔について
歯の治療を行う際に、そのままの状態では痛くて治療が行えない場合は、麻酔の注射(局所麻酔)を行って痛みを感じない状態にしてから治療を行います。
当院では、麻酔の注射を行う際に患者様がなるべく痛みを感じにくいように、様々な努力をしております。
①注射前の表面麻酔薬の塗布
麻酔の注射をする前に、歯ぐきに塗り薬の麻酔薬を塗ります。
この塗り薬の麻酔薬は効果が弱いため、これだけでは治療に必要な麻酔をかけることはできませんが、麻酔の注射をするときの針の痛みを和らげる補助的麻酔薬として使用します。
②電動注射器による注射
当院では、麻酔の注射を行う際に、電動の注射器を使用しています。
従来の手動の注射器と比較して、注射のスピードをコントロールできるため、痛みが出にくいのが特徴です。(麻酔の注射は、ゆっくりのスピードで行った方が痛みを感じにくいです。)
③細い注射針の使用
一般的に使用される注射針の中でも最も細いレベルの33G(太さ0.26mm)の針を使用しています。
注射針は、細ければ細いほど刺入時の痛みが軽減されますので、痛みの少ない注射を行うことができます。
器具の滅菌・消毒について
当院では、治療に関する器具の滅菌・消毒に力を入れております。(※「滅菌(めっきん)」とは、全ての微生物を完全に殺滅または除去することです。)
使用する手袋、紙コップ、エプロンは全て使い捨てのものを使用し、患者様ごとに交換しております。
また、治療に使用する器具においても、オートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)による滅菌を行い、オートクレーブの使用できない器具についてはグルタールアルデヒド系製剤を用いた化学的滅菌を行っております。
ハンドピース(歯を削る機器)についても、「2017年の時点で約半数の歯科医療機関が滅菌せずに使い回しをしている」という調査結果がニュースになっていましたが、当院では全てのハンドピースについてオートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)にて滅菌して患者様ごとに交換して使用しております。
滅菌されたハンドピースです。
オートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)です。
拡大鏡について
歯科治療を行う際に、肉眼では治療するところがなかなか見えづらいことがあります。そのような症例では、拡大鏡を使用して治療を行っています。
当院では、拡大倍率3倍の拡大鏡を使用しています。むし歯の治療や根っこの治療、被せものの治療をする時などに有効です。
歯科用CTについて
当院では、従来のレントゲン装置に加え、歯科用CTを導入しています。『CT』とは、非常に分かりやすい言葉で説明すると、『どの角度からも見ることができるレントゲン』です。
従来の『レントゲン写真』では2次元的な診断しかできませんでしたが、『CT』では任意の角度から診断したい箇所のレントゲン写真を見ることができるので、3次元的な診断が可能になります。また、従来のレントゲンでは撮ることができない角度からの画像を見ることができることも『CT』の大きなメリットです。
レントゲン写真とCT画像の違い
①レントゲン写真
奥歯の『レントゲン写真』です。下の一番奥の歯(親知らず)が、横向きに埋まっています。そして、横向きの親知らずの根っこの先には「下顎管(かがくかん)」という太い神経や血管が走行している管があります。わかりにくいので、「下顎管」を赤線で示してみました。
もしこの親知らずを抜歯するとなると、この「下顎管」を傷つけないように気をつけないといけないので、事前に「親知らずと下顎管の位置関係」を詳細に調べる必要があります。
この『レントゲン写真』だけでは、親知らずが頬側・舌側のどちらを向いているのかということも分からないですし、親知らずと下顎管との奥行き的位置関係も分かりません。
②CT画像
奥歯の『CT画像』です。3つの切り口からのレントゲン写真を同時にみることで、「親知らずの正確な向き」や、「親知らずと下顎管の位置関係」を立体的に把握することができます。
以上の様に、『CT』を用いることにより、一般的な『レントゲン写真』を用いた診断よりも精度の高い診断をすることができます。そしてその精度の高い診断に基づいたより安全な治療をすることが可能になります。例えばこの親知らずの症例では、抜歯を行う際に神経を傷つけてしまうリスクを減らすことができます。
親知らずの症例で『CT画像』の説明をしましたが、『CT』による診断は以下のような症例の診断にも有効に活用することができます。
・親知らずの抜歯
・歯周病による骨吸収
・根尖病巣(歯の根の先に起こる炎症)による骨吸収
・歯根破折による骨吸収
・顎関節の変形
・インプラント治療が可能かどうかの骨状態の診断
患者様の医療管理について
歯科医院に来院される患者様には、極度に緊張してしまう方や、ご高齢で体が弱っている方、他のご病気にかかられている方が少なくありません。当院では、歯科治療を行う際に、そのような患者様に対して気をつけて医療管理をするようにこころがけております。そのために取り組んでいることをご紹介します。
①全身疾患の確認
まず、患者様の全身疾患の有無、服用されているお薬の内容を確認する必要があります。
初診来院時や、前回来院時から期間が空いて来院された場合、お薬手帳を確認させていただきます。
(※服用されているお薬によっては歯科治療に影響することが多いため、必ず確認させてください。)
②パルスオキシメーター付き自動血圧計によるモニタリング
高血圧症、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞など)、不整脈、心不全、脳血管障害(脳梗塞など)の既往をお持ちの患者様に対して麻酔の注射が必要な場合は、状態変化が起きやすいため自動血圧計にて血圧・酸素飽和度・脈拍を測定させていただきます。
③酸素吸入装置の設置
体調が急変した時や、極度の緊張状態でショック状態になってしまった場合など、酸素の吸入が必要になる場合があります。当院ではそのような万が一の場合に備えて、酸素吸入装置・救急蘇生エアバッグを常備しております。
④自動体外式除細動器(AED)の設置
「心室細動」という、心臓が細かく震えて血液を全身に送り出すことができない状態になった時に、電気ショックを与える機器です。
救急蘇生の初期対応の一つです。
口腔外バキュームについて
診療室内では、歯や金属、義歯や仮歯を削る際に出る削片、唾液、血液などが空気中に飛散します。
そのような汚染物質を吸引し、清潔な空気環境を作り出すために、各治療台ごとに口腔外バキューム(掃除機のようなもの)を設置しております。感染症対策として有効です。